大正ロマン展(田中 翼コレクション)

By 清水銀嶺, 2007年9月15日

 池袋三越の7階催事場で催されている、 『大正ロマン展(田中 翼コレクション)』を観てきた。
 いわゆる芸術的な絵画としてのアートだけではなく、三越のポスターなど、当時の生活の中に大正ロマンを感じる内容だった。
 イラスト作品では、人物の顔は浮世絵の画法を用いていながら、着物や洋服の部分は写実的に描かれていたり、反対に着物は平面的に処理されているのに、人物の顔が写実的に描かれている作品もあって、急速に入り込んだ西洋文化との融合が新しい文化を生み出していく過程を垣間見た気がした。
 ガラス製品も、化粧瓶などの形が実に多彩で、料理ごとに形の違う器がある和食器のように楽しめた。丸皿や平皿だけのような、今の画一的な化粧瓶の方が持ち運びなどの面で機能的なのかもしれないけれど、美しくなるための道具であるならば、こういう遊び心のあるデザインの方が私は好きだ。
 時代背景の解説文を読むと、明治期の「富国強兵」のスローガンと戦勝を経て、大正ロマンが花開いたという。個人的なイメージでは、「富国強兵」は第二次世界大戦のときのように感じてしまうのだが、確かに明治政府の国策だった。戦勝と、その後に訪れた華やかな時代という流れが、錯誤となったのが第二次世界大戦に至った理由の一つかもしれない。戦後の昭和は、平成の今から見ると、いずれ大正ロマンと同じように扱われるだろうと展示品を見て思った。
 後半に展示してある着物や帯などを見ると、薔薇園と洋風の館の描かれた着物や、背の部分に雷神が描かれ前の部分に「ゴロゴロ」と書き文字がある帯のなどは、斬新でユニークというよりも、螺旋状に寄り合いながら紡ぎ出された連続した文化の系譜の中に、現れて当然という印象を私は持った。女子幸福双六の作りや、当時の三越デパートのポスターにある宣伝文句などはそれこそ、「今と変わらないなぁ」と感心してしまったくらいだ。
 そうそう、次に展示の機会があれば、着物はターンテーブルに乗せるなどして、ぐるりと一周を見られるようにしてもらいたい。着物帯の前の部分などは、回り込まないと見れないため、多くの人が見逃しているようでもったいない限り。
 それと、会場を出ると関連する物販コーナーがあるので、散財しやすい人は要注意。ついつい、欲しくなってしまう。

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