• カテゴリー別アーカイブ 短編集
  • プリン

     四月も終わり、菜の花は散り、桜の木もすかっり緑色に染まった頃、私は、高校に入って二年目となる通学路を帰っていた。アスファルトは砕け、凸凹とした道で自転車の各パーツが緩んでいるのか声を上げている。  身体はクタクタ、ワイシャツの下は汗が滲んでいる。まだ夏にもなっていないのに、嫌に熱い。  ただ風は涼しくて、なんとなく青と水色とが混ざる空を見上げれば、傾き始めた太陽の光によって、大きな雲や、小さな雲…