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  • 子供を護る56の方法 その8【火事からの脱出】

     火事における死因の多くは、焼け死ぬのではなく、有毒ガスによる中毒や、一酸化炭素中毒による窒息死とされています。
     特に一酸化炭素中毒の場合は、「苦しい」と思うよりも前に気を失ってしまったり、逆に意識があっても体が動かない状態になるため、注意が必要です。
     ですから、火事から脱出するさいにまず必要な道具は、懐中電灯と濡れタオルです。
     懐中電灯は携帯電話の画面の点灯でも代用できますが、脱出後の連絡手段として必要となる可能性があるので、ミニライトでも構いませんから専用の物がお勧めです。
     そもそも何故懐中電灯が必要かというと、第一に火事になると建物内の電気配線がダメージを受けて灯りが消えるからです。第二に、昼間に窓などから外の光が入っている環境であっても、煙にまかれたら腕を伸ばした先の掌が見えなくなるほど視界が悪くなります。
     いずれにしろ、火事においては精神的なパニックも重なって判断力が低下しますから、方向感覚を失い、通常時には分かっているつもりの出口を把握できなくなると思っておくべきです。壁に手をつき、体を低くして壁沿いに避難しましょう。
     そして、濡れタオルは煙や有毒ガスを吸い込まないために口に当てるという目的はもちろんですが、熱い空気を吸い込んで気管支に火傷を負うのを避けるためでもあります。
     火事のニュースで、「咽喉に軽い火傷を負い」というフレーズを見聞きしたことのある人もいるでしょう。
     医学的には火傷の治療法というのは冷やす以外に存在せず(手足を熱湯で火傷して病院に電話したら、電話してる暇があったら冷やして下さいと言われたという話もあります)、その後は細菌による感染を防ぐことに専念するのみとなるのですが、気管支はいわば内臓ですから、内蔵の損傷は外傷よりも致命的なものとなります。
     濡れタオルは、いわば吸い込む空気の温度を下げるのにも必要なのです。
     最近ではハンカチを持たずにティッシュペーパーで用を足すという人が増えていますから、いざとなったら着ている服の袖などで代用するとして、水分の確保には、水筒かペットボトルを持ち歩いておくのが良いでしょう。
     また就寝中の火事というのも脱出が困難になる状況の一つですから、枕元には常に懐中電灯と水分を用意しておくべきです。これはそのまま、地震への備えにもなります。
     ところで、出火時に現場にいる場合はどうするべきか。
     通常であれば消火を試みるべきですが、本稿の主旨は「子供を護る」ことですから、まず子供を逃がして下さい。
     すぐに消火できて、大ごとになってしまう可能性がありますが、恥をかくことなど、子供の無事に比べれば些細なことです。
     そして子供にも、親や頼れる大人が一緒に居ない時には、消火をしようとは考えずに逃げるよう、よく言い聞かせておいて下さい。
     119番に通報したりするのも、逃げてからにしなさいと。
     これらは、「火遊び」による火事に備えてのことです。
    「火遊びは駄目」といくら言っておいても、子供の好奇心は躾などで抑えられるものではありません。
     その時には、

     
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  • 子供を護る56の方法 その7【感染症(インフルエンザなど)から護る】

     メキシコから拡大している新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が、日本で発症確認されるのも時間の問題でしょう。
    (※1)
     弱毒性であることから楽観視している人もいるようですが、本当の危険は季節性のインフルエンザが流行する今年の秋以降だろうと思われます。新型インフルエンザが一度は終息しても、季節性のインフルエンザと時を同じくして再び発生すれば、今以上に危険な事態となることが予想されます。
     季節性のインフルエンザの致死率が0.1%なのに対して、新型インフルエンザは少なくとも発生源であるメキシコでは7%を超えていることは、決して軽視できるものではありません。
     最悪の事態を想定して対処し、何事も無かったならば、その時になって「騒ぎ過ぎて馬鹿馬鹿しかった」と笑えることを喜ぶべきです。
     基本的な予防は、良く云われているように、マスクと、嗽(うがい)に手洗いです。
     マスクは、花粉症に用いるような完全な密閉式でなくても充分です。口元に隙間の開くマスクだと効果が薄いように思われる方もいるかもしれませんが、マスクをすると吐いた息に含まれる水分が滞留して、その湿り気がウイルスや菌の働
    きを抑えます。マスクをした時の口元に感じる、あの不快な湿り気が防御層となるのです。
     嗽も、わざわざ嗽薬を使わなくても結構です。人間の防御機能というのは案外と優秀なもので、喉元で異物の侵入を防いでいます。ですから、それを水で洗い流せば良いのです。ただし、回数は増やした方が良いでしょう。
     そして、嗽よりも重要とされているのが手洗いです。空気感染にしろ飛沫感染にしろ、壁やドアノブ、本や机といった、あらゆる物にウイルスや菌が付着している可能性があり、手で触れた物をいちいち記憶している人など、そうはいません。
     それらに触った手で、目鼻などに触れたり、食べ物を口に運んだりすると、格段に感染する可能性は高まります。石鹸を用いて、最低でも30~60秒は良く手を洗いましょう。
     そして、もしも喉の痛みや咳、発熱といった症状が表れたら、可能であれば病院に行く前に保健所に相談するようにして下さい。通常の風邪であれば良いのですが、インフルエンザが流行している時などでは、病院での集団感染を防ぐためにも、地域指定の病院に行ったり、あるいは病院側に受け入れ態勢を整えさせる必要があるからです。これは他の人に迷惑をかけないのと同時に、自分自身が病院に行って感染することを防ぐためでもあります。
     もちろん、夜中に発症した場合は、インフルエンザは早期の治療が必要ですから、すぐにでも夜間診療で病院を訪れた方が賢明です。朝まで待つ必要はありません。
     そして、今回の新型インフルエンザでもタミフルやリレンザが効くことが確認されています。
     もしタミフルが処方されましたら、因果関係は確認されていないものの、服用後に興奮や幻覚といった症状が起きる可能性がありますので、患者から目を離さないように注意して下さい。過去の事例では、マンションで玄関のドアを開けて廊下から飛び降りたという例もあります。
     興奮している人間の力というのはすさまじいもので、簡単には抑えられません。各部屋の窓や玄関の鍵は閉め、とにかく目の前で見守ることを最優先して下さい。部屋に一人で寝かせておくよりは、例えば家事をする時には、目の届く場所、居間に横にならせるなどしてでも、目を離さないようにしましょう。
    (※1)
     世界保健機関(WHO)は29日夜(日本時間30日朝)、全世界で拡大を続けている新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について警戒水準を「4」から「5」に引き上げた。
     新型インフルエンザの警戒レベルは6段階あり、マーガレット・チャン事務局長が記者会見し、大流行一歩手前を示す「5」への引き上げを発表した。
    (2009年4月30日 読売新聞より引用)
    ◆本誌の内容の引用・転載に関しましては、出典を明らかにしていただければ、特に当方への通知をせずに利用していただいて構いません。
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  • 子供を護る56の方法 その6【咽喉に異物が詰まったら】

     千葉県船橋市で、小学六年生の男の子が、給食に出てきたパンを咽喉に詰まらせて死亡するという事件がありました。(※1)
     校長は、「よくやっていたと救急隊員の方にも言ってもらった」といった趣旨のことをテレビの取材に答えていましたが、報道の内容を信じるとすれば、担任の教師が本気で助ける気があったのか、はなはだ疑問です。
     というのも、三つも致命的なミスを重ねているからです。
     一つ目は、最初期の段階で救急車を呼ばなかったこと。
     二つ目は、水などを飲ませたこと。(報道によるとクラスメイトがスープを飲ませたとのこと)
     トドメは、仰向けに寝かせて救急車の到着を待ったことです。
     救急車を呼ぶことについては、軽症なのにタクシー代わりに呼ぶことが問題となっていたりしますが、咽喉に異物が詰まるというのは、かすり傷や微熱とは訳が違います。
     死ぬか助かるかの、二つに一つという危機的状況です。
     呼んだ直後に異物が取れて恥をかいたとしても、それは「良かったこと」と思うべきでしょう。
     また、電話をすれば的確なアドバイスを受けられる可能性があります。
     救命措置において、まず専門家のアドバイスを受けるというのは、重要なことです。
     次に、咽喉は一つですが、咽喉には飲食物を胃に送る食道と、呼吸をするために肺と繋がっている気道という二つの通り道があり、気道の入口には飲食物の侵入を防ぐために、意識すること無く開閉する弁があります。
     そして咽喉が詰まったとき、異物が食道側で詰まっているのか気道側で詰まっているのか、あるいはその手前でなのかというのは、素人には判断できません。
     もし気道側であるときに水などを飲ませて、そのまま異物ごと肺に送り込んでしまえば、事態をさらに悪化させてしまいます。
     たとえ吐かせるために飲ませたとしても、確実に吐くとは限らず、指などを入れて取り除こうとするのと同様、異物を奥へと押し込んでしまう危険が高いため、絶対に避けなければならない行為です。
     ですから本人に吐き出させるのが大事で、まずはその手助けを試しましょう。
     背中に回り、左右の肩甲骨の間を、肩叩きの要領で叩くというのは、その基本中の基本です。
     それで効果が認められない場合には、今度は背後から相手の両脇下に腕を通して、片手を握って拳を作り、その拳をもう片方の掌で包むようにします。
     そして拳を相手の肋骨の分かれ目の下に当てて、気合とともに一気に押し込みます。
     相手は痛がるかもしれませんが、力を加減してはいけません。
     それでもなお取れないようでしたら、最後の手段として掃除機を使って異物を吸いだすことを試みます。
     最初に掃除機を使わないのは、被害者は苦しさゆえに暴れがちであるため、狭い口の中に掃除機の先端を入れることもまた危険だからです。
     他に、幼児の場合には、逆さに抱えて背中を叩くという方法もあります。
     そのさいには、落下の危険を軽減するために布団などの柔らかい物を下に置いたり、できるだけ床から低い位置で抱えるようにしましょう。
     過疎地や交通状態の酷い地域でなければ、これらをしている間に救急車が到着すると思われますが、手を尽くして待つしか無くなったとしても、決して横に寝かせてはいけません。
     特に、頭を打ったのとは話が違うのですから、何もしないで仰向けに寝かせておくというのは最悪です。
     というのは、肺は全方位に膨らむのに、仰向けに寝かせてしまっては背中の側に膨らまなくなってしまうからです。
     ただでさえ呼吸が阻害されている可能性があるのですから、少しでも呼吸しやすい姿勢、すなわち壁にもたれかけさせるなどして上半身を起こしておき、かつ顔が下を向いて気道が狭くなることを防ぐために顎を手で支えて、やや上を向くように気道が直線になるようにしてやります。
     本人の体力の問題などで寝かせる場合には、体を横に向かせて、やはり気道が塞がらないように、首の位置に注意をしましょう。
     件の校長には、ここまでやって「最善を尽くした」と言ってもらいたいものです。
     とかく忙しいと云われる、クラス担任を持つ教師には酷な話かもしれませんが、多くの学校の教室には外部との直通電話が無く、授業中に携帯電話を持っていないとすれば、校舎の構造上からも助けを呼ぶのに相当のタイムラグが生じる以上、基本的な救命措置や応急措置を心得ていてもらいたいですし、保護者の側で講習会を企画するくらいは必要かもしれません。
     何よりも今回、亡くなった男の子を助けようと、クラスメイトの子供たちが間違った対応をしてしまったことは、非常に残念でなりません。
     私が子供の頃に行なわれていた学校の朝礼などは、それこそ校長による役にも立たない道徳話を聞かされてうんざりしたものですが、現在も同様であるならば、もっと子供たち自身に危機に直面した際の対応方法を教えることが望ましいと思います。
     野田聖子消費者行政担当相などは、製品の規制を強めて(※2)消費者を過剰に保護にする方針のようですが、他人に任せていては子供は護れません。
    (※1)
     千葉県船橋市立峰台小学校(末永啓二校長)で、6年生の男児が給食のパンをのどに詰まらせ死亡していたことが21日わかった。窒息死とみられる。
     同校によると、男児は17日午後0時45分ごろ、給食に出た直径10センチ余りの丸いパンを一口ちぎって食べ、残りを二つに割ってほおばり、のどに詰まらせた。気づいた担任が注意し、男児は友だちに促されてスープを飲み、廊下の手洗い場ではいた。いったん教室に戻り担任らが背中をさすったり、たたいたりしたが苦しいと訴え、再び廊下に出て横になった。男児の意識が薄らぎ、救急車で病院に運ばれたが同日夕に亡くなった。
     末永校長は「軟らかいパンでこんな結果になるとは予想できず、驚いている。友だちとも仲良くする優しい子で残念だ」と話している。
     同校は20日朝臨時の全校集会を開き、児童に事故を伝えたが、泣いている児童もいたという。「児童のショックが大きい」として校内にスクールカウンセラーを待機させている。
    (2008年10月21日 朝日新聞より引用)
    (※2)
     こんにゃく入りゼリーを食べた子供が窒息死した事件を受けて、自民党内で10日、ゼリーの形状などを規制する新法制定を検討する動きが出てきた。消費者庁設立のきっかけともなったゼリー被害の防止に焦点を絞った新法だが、窒息による死亡事故が多いモチの規制との兼ね合いなど課題は山積する。新法制定の背景には、政府が消費者の安全をはかるため国会に提出した「消費者安全法案」でも根本的解決にはならないとされる事情があり、ゼリー規制の議論は政府・与党肝いりの消費者庁構想にも影を落としそうだ。(酒井充)
     「子供が見て、食べたら死ぬと分かるようにしないと。それぐらいはできるでしょ!」
     こんにゃく入りゼリーの規制を議論した10日の自民党消費者問題調査会(会長・岸田文雄前消費者行政担当相)は、河野太郎氏ら出席議員らが怒声を発するなど、さながらゼリー糾弾の場となった。ほかにも「外国並みに規制する法律をつくるべきだ」といった意見が続出し、議員立法による新法の国会提出を目指す方針が確認された。
     政権与党の議員がゼリー規制に熱くなるのには事情があった。9月に兵庫県の1歳の男児がこんにゃく入りゼリーを食べ、のどに詰まらせて死亡する事件があり、平成7年以降で17人目の犠牲者となったためだ。
     国外では、EU(欧州連合)が独特の硬度を生み出すこんにゃく成分を添加物とし、ゼリーへの使用を禁止しているのに対し、日本国内では食品衛生法の対象は食中毒などに限られる。
     このため、今回のような死亡事故を防止する取り組みが「生産者重視から消費者の安全を重視する行政への転換の象徴」(中堅)と位置づけられている。
     そのためか、この日の会合では厚生労働省側が「製造中止や回収させる法制度はなく、強制力のない指導が限界」と説明しても、議員の怒号は消えなかった。
     だが、新法でゼリーの形状などを規制するには「法の下の平等」という点で大きな壁が立ちはだかる。こんにゃく入りゼリーはだめで、モチは規制しなくてもいいのか-という問題だ。
     実際、10日の調査会でも谷公一衆院議員が「モチは昔から死亡事故が多い」と指摘した。一方、野田聖子消費者行政担当相は10日の会見で「モチはのどに詰まるものだという常識を多くの人が共有している」と強調したが、「ゼリーだけを規制し、モチやアメを規制しない合理的な根拠は見つかりにくい」(厚労省)というのが実態だ。
     厚労省の調査では、平成18年中に食品を原因とする窒息で救命救急センターなどに搬送された事例は、把握できた計803例のうち、モチの168例が最多で、「カップ入りゼリー」は11例だった。
     政府が今国会に提出した消費者安全法案には首相の権限で商品販売などを最大6カ月禁止できる項目が盛り込まれた。だが、法案審議は民主党の難色でめどは立っていない。どの商品がどれだけ危険かという判断も容易でなく、ゼリー規制新法も、「なぜゼリーだけかと野党に突っ込まれても答えようがない」(政府関係者)のが現状だ。
    (2008年10月11日 朝日新聞より引用)
    ※野田聖子オフィシャルサイト
     http://www.noda-seiko.gr.jp/contact/

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  • 子供を護る56の方法 その5【出産は命の選択】

     福島県大熊町の県立大野病院で平成16年に、帝王切開で出産した女性が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死罪などに問われた産婦人科医を無罪とした1審の福島地裁判決に対して、検察当局は控訴を断念する方向で検討しているそうです。
     この裁判に対しては、マスコミでの評価も分かれており、カルテ改竄や明確な医療過誤とは云えないとして医師を擁護する見解や、専門知識を持ち合わせない遺族が裁判の過程の中で置き去りにされているという見方などが出ています。
     確かに難しい問題ではありますが、「妊娠して出産する」というのが「当たり前ではない」ということを、もっと多くの人が知るべきでしょう。
     一説には、妊娠して自然分娩によって無事に出産する確率は6割を切るとされています。
     今回の事件の状況ともなった帝王切開を始めとして、医学の発達によって出産の確率が底上げされているだけで、実は出産というのは奇跡のようなものなのです。
     現在では避妊の方法として認識されている、基礎体温を計っての「オギノ式」も、本来は妊娠する確率を高めるためのものでした。
     それは、妊娠しても無事に出産することが難しいからこそ、必要なものだったのです。
     私の子供の場合もそうでした。
     妻の妊娠が分かった当初、双子かもしれないと診断されましたが、実は子宮筋腫が胎児ほどの大きさ(大人の拳くらい)もあることが検査で判明しました。
     医師からは、流産する可能性が高く、筋腫の大きさから子宮摘出を提案され、子供を産むのは諦めるよう宣告されました。
     幸い、私の場合は親類に医療関係者がおり、そのツテを頼って、通常は長期入院の難しい検査設備の整った病院に即日入院させることができました。
     むしろ、妻に入院するように説得するのが大変でした。
     本人は今回は諦めても、次の妊娠に期待したいという甘い考えがあり、なにより長期入院を嫌がったからです。
     現在のような、妊婦のたらい回しが問題になる前でしたが、それでも入院できるのが、ツテがあるからゆえの幸運だとは、まったく思っていなかったのです。
     高い確率で流産の可能性を抱えたまま、なんとか入院させて半年以上が経ったある日、その電話は突然かかってきました。
     胎児の心拍が弱くなっているため、緊急手術で出産させると病院から知らされたのです。
     そして手術前に担当医師から迫られたのは、帝王切開での出産と同時に、子宮摘出に同意することでした。
     もちろん、その時には「可能な限り避けたい」と返答しましたが、子供が無事に産まれたという報告を看護師から受けるのと同時に、手術室の隣室に呼ばれ、一時的に摘出した筋腫に冒された子宮を目の前に置かれ、選択しなければならなくなりました。
     摘出するために太い血管を縛っているからこそ止血されていて妻は無事ですが、もしこの子宮を戻して後から筋腫だけを剥がそうとして大量出血すれば、それこそ命がありません。
     あるいは、いわゆる「産後の肥立ちが悪い」状態に陥って衰弱してしまうことも考えられます。
     目の前に置かれた生々しい子宮には吐き気を覚えることはありませんでしたが、子宮を放棄するという吐き気を催す決断をせざるをえませんでした。
     例え第二子の期待があろうとも、子供が今無事であることを確定し、妻の安全を最大限に優先するための選択です。
     冒頭の事件の場合には、患者は癒着胎盤という難しい症例で、担当医師は事前に大学病院での出産を勧めていたと云われています。
     通常は担当医が紹介状を書くはずですから、これは好機だったはずです。
     しかし、通院の不便さから断ってしまったようです。
     また、この時の出産が第二子で、次の妊娠も望んでいたため、分娩時に問題があった場合の子宮の摘出も拒否していたと伝えられています。
     それが事実であれば、検察が主張していた「中止して子宮を摘出すべきだったのに、無理に続けて失血死させており、過失は明白」というのは言いがかりでしかありません。
     私が子宮を実際に見せられたのは、手術前に摘出に同意していて、太い血管を縛って一時的に摘出するという時間的余裕があったからに過ぎません。
     遺族には納得のいかないことでしょうが、出産という行為が、母親か子供の、あるいは両方の「命の選択」を迫られる危険な行為であると認識していなかったのが、この事件の根幹にあるように思えてなりません。
     そしてそれは、有名人が妊娠すると、安易に「オメデタ」などと報道してしまうマスコミにも責任があるでしょう。
     私の妻の妊娠が分かった時には、医療に携わる、あるいは知識のある親類や友人たちは誰も「おめでとう」とは言いませんでした。
     無事に産まれるまでは言えないからです。
     子供を護る最初の戦いが、出産なのです。
    (※朝日新聞2008年08月30日の記事より引用)
     産婦人科医に無罪が言い渡された県立大野病院事件で、福島地検は控訴を断念した。福島地裁判決は「検察側は、その主張を根拠づける臨床症例を何ら提示していない」と述べ、罪となるべき事実について立証の甘さを指摘。その意味で控訴断念は半ば予期されていたことで、地検が「新たな証拠を出せない」としたのも納得がいく。
     だからといって医療界がすべて正しかったのかというと、疑問も残る。具体的には、警察からの鑑定依頼を断ったある専門家が、弁護側からの鑑定依頼は受けて公判で証言した点だ。医療のような専門性の高い分野では、より多くの専門家に意見を聴く必要がある。なぜ捜査に協力しなかったのだろうか。
     亡くなった女性(当時29)の父、渡辺好男さん(58)が病院側に、医療スタッフの話を聞かせてほしいと訴えたが、「忙しい」と断られたということもある。
     今回の裁判は、警察・検察に対しては慎重な捜査を、医療界には「より開かれた医療」の実現を、それぞれ求めたと言えるのではないか。(北川慧一、高津祐典)
                       ◇
     無罪が確定する加藤克彦医師(40)は「ほっとしています。2年6カ月は、とても長かった。これからも、地域医療に私なりに精いっぱい取り組んでまいります」とのコメントを出した。
     一方、亡くなった女性の父、渡辺さんは「1人の命が亡くなったことを重く受け止め、医療界は変わっていってほしい。裁判が続かないからといって、落胆はしていない。今後も真相究明に向けて活動を続けていきたい」と話した。

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  • 子供を護る56の方法 その4【水難事故から護る】

     夏休みに入って、水難事故が相次いでいます。
     正確には、用水路や川などで子供が溺れる事故は、季節を問わずに起きていますから、日常的に起こりえる事故と思っておいた方が良いでしょう。
     今回は、その対処法を幾つか提示する訳ですが、水難事故においては「泳げる人」や「泳ぎに自信のある人」も亡くなっているという事実があるように、それらの対処法によって必ず助かるということは保障できません。
     むしろ、水難事故は「確実に死ぬ」ものと覚悟して下さい。
     そのうえで、「救命率を高める」のにお役に立てればと思います。
     さて、子供に「危ない所に近づいてはいけない」と言い聞かせることはもちろん必要ですが、そんな言いつけなど守らないのが子供でもあります。
     形態模写を得意とし、子供と猿の仕草を真似させたら右に出る者の無かったマルセ太郎氏(故人)は、「大人ってヤツは、まるで初めから大人のまま生まれてきたようなことを言う」と語っていました。
     大人の言いつけを破った思い出は、多くの人が持っていることでしょう。
     そこからすると、対処法は「危険な場所に行く」・「危険なことをする」というのが前提になります。
     そこで、基本的な装備としてビニール製のゴミ袋を持たせましょう。
     一枚くらい折りたたんで持つ分にはたいした荷物になりませんし、突然の雨のときに雨合羽代わりにもなるスグレモノです。
     川や池にボールなどを落として拾おうとする時には、先に膨らませたゴミ袋を手に持ち拾ったり、一緒に遊んでる相手が水場に落ちた時に膨らませたゴミ袋を投げ入れることもできます。
     もちろん最善は、落とした物は諦め、人が落ちたら別な人に知らせて助けを求めることです。
     しかし繰り返しますが、言っておいても、そうしないことが往々にあります。
     先月の30日には、愛知県の矢作川で、7歳の女児が溺れる事故が起き、そのさいに9歳のお兄ちゃんが助けようと川に入って溺れそうになったため自力で岸に上がってから、通行人に助けを求めたそうです。(※1)
     咄嗟に自分で助けようとしてしまうのは、子供でも大人でもありえることで、それに備えての装備は決して無駄にはならないはずです。
     水に入ってしまった場合、自分が落ちるにしても、誰かを助けようと入るにしても、まずしなければならないのは、「下半身の服を脱ぐ」ことです。
     ズボンやスラックスなどは、水を吸えば、ただの錘(おもり)にしかならず、水を蹴るのにも水の抵抗力を高めてしまうため邪魔になります。
     学校によっては、服を着たままプールに入るという体験学習をしているところもありますので、ご自分の子供が通っている学校で行われていなければ実施するよう働きかけることも必要かもしれません。
     一方、上半身の服は、シャツやジャンパーなどが浮き輪として使える場合があります。
     子供の頃に、湯船でタオルを空気が封じ込められるように丸めて遊んだ方もいるのではないでしょうか。
     また、浮き輪代わりにならないまでも、広げることで救助する人からの目印になります。
     水場の近くに住んでいたり、そういう所に遊びに行くときには、意識的に赤い服などの目立つ服装をさせるのも、大事な安全対策です。
     そして、溺れた時に重要なのは、「泳げること」ではなく「浮いている」ことです。
     むしろ泳げると、自力でなんとかしようとして体力を失ってしまい、救命率は低くなります。
     浮いてさえいれば、発見しやすく救助も容易で、川の場合にはカーブで必ず岸の側に寄せられますし、海の場合も海岸近くなら岸に戻される可能性があり、沖に流されても潮の流れを追跡できます。
     子供に水泳を教えようと思っているのでしたら、水泳選手にでもするのでなければ、泳ぎを上達させる必要はありません。少しでも長く、仰向けに浮いていられるように練習させましょう。
     今月の4日には、神奈川県藤沢市の海岸で2人の中学生が溺れてしまいました。(※2)
     目撃した海岸のライフセーバーはマスコミの取材に、2人は立った状態で河口から海の沖へ沖へと流され、「流されてることに気付いていなかったと思う」と答えています。
     そう、川や海では、「水が流れている」ことを忘れてはなりません。
     一般に、腰より水位が低いと溺れることを想像しにくいようですが、自然においての危険水位は膝下です。
     転倒した拍子に川底などに頭を打ちつけて気を失えば当然溺れますし、水の勢いが一定ではないため、ほんの一瞬の変化で容易に足をとられてしまい、膝下程度の水深があれば浮いた体は、あっという間に流されてしまいます。
     小さい子供ですと、なおさらその危険度は高まりますから、一瞬でも目を離せばオシマイです。
     また、川は見た目に同じ速度で流れているようでも、真ん中のほうが少し速かったりします。
     それはまた水温が違うことも意味しており、急激な温度変化で足が攣ったり、心臓発作を起こすというケースもあります。
     長良川では今年、アユ釣りに訪れた人の水難事故が増えているそうで、原因は特定されていないようですが、深さや幅にかかわらず川の横断は危険な行為です。(※3)
     他に、先の藤沢市の海岸の例では、『離岸流』に巻き込まれた可能性が考えられます。
     これは、「海の中の川」とも言われ、一見同じように海岸に打ち寄せる波の中で、およそ10~30m程の幅の間だけが、毎秒約2m近くという速い流れで沖へと戻っていく海流です。
     これほどの速さだと、オリンピックの水泳選手でも流れに逆らって泳ぐのは難しいそうです。
     それでいて、その流れの境目は分かりにくいため、自分が沖へと流されていることに気付きにくく、気付いたときには、もう自力では戻れなくなっていたりします。
     主に河口付近の海岸で起きやすい現象ですが、海岸の形や風向きなど、複数の要件により予想外の場所でも発生します。
     もし泳いでいて、海岸が急に遠くなったとか、海岸に向かって泳いでも近づけないという時には、この離岸流の中にいる可能性がありますので、脱出方法を覚えておきましょう。
     泳ぎに自信が無ければ、先にも書いたように浮いていることが最優先です。怖いかもしれませんが、海岸を横に見ながら少しずつで良いので海岸に沿って平行に泳ぎましょう。
     泳げるようであれば、同じく海岸に沿っていけば、離岸流を脱け出せます。
     離岸流の中さえ抜ければ、海岸に打ち寄せる波に乗って帰ることができます。
     私自身、小学生の頃に、遊びに行った親戚家で叔父から教わっていたおかげで、泳ぎは不得意でしたが(今でも25mを泳ぎきれません)、この離岸流に巻き込まれたと思われる状況で沖に流される中、横へ横へと泳いでるうちに大波によって海岸へ戻され助かることができました。
     ただ「危ない」と言うばかりでなく、「何がどう危ない」のか、「その時にはどうすれば良いのか」を、子供に言って聞かせるようにしましょう。
    (※1)
     30日午前10時40分ごろ、愛知県岡崎市舳越町の矢作川にかかる日名橋付近で、通行人の女性から「日名橋付近から女の子が流されたようだ」と119番通報があった。
     岡崎署の調べでは、流されたのは、同市中園町、会社員井手政直さん(37)の長女で岡崎市立矢作北小2年のみずほちゃん(7)で、川に入って流されたらしい。一緒に河川敷で遊んでいた兄の健人君(9)がみずほちゃんを助けようと川に入ったが、おぼれそうになったため自力で岸に戻ったという。県警や県のヘリも出動し捜索。午後1時すぎに、みずほちゃんとみられる女児を発見し、病院に搬送したが、意識や呼吸はないという。
    (2007年7月30日 朝日新聞より引用)
    (※2)
     8月に入って最初の日曜日となった5日、海や川での事故が相次いだ。毎日新聞の午後11時現在のまとめでは、東京、福島、愛媛、山口など11都府県で11人が死亡、2人が行方不明となっている。
     青森県平内町浜子の町営海水浴場では、午後5時25分ごろ、青森市新城の会社員、角田秀明さん(29)が約50メートル沖で沈んでいるのを一緒に遊びに来ていた同僚が発見。角田さんは病院に運ばれたが死亡した。午後1時半ごろ到着し、ビールを飲みながら泳いでいたらしい。
     福島市飯坂町茂庭の「茂庭滑滝(なめたき)キャンプ場」近くの摺上(すりかみ)川で午後3時前、福島県伊達市梁川町、市立梁川小5年、霜山拓哉君(11)が足を滑らせて転落し流された。4時間後に発見されたが、死亡が確認された。霜山君は、友人の父親に連れられ友人2人と遊びに来ていた。
     大分県玖珠町の玖珠川では午後4時半ごろ、家族でキャンプに来ていた福岡市南区の高戸秀一さん(51)が、おぼれかけた小学4年の三男(9)を助けようとして流され行方が分からなくなった。三男は無事。
     また、神奈川県藤沢市の海岸で4日に行方が分からなくなった同市立明治中1年の阿部楓(かえで)さん(12)と、大川内輝紀(てるき)さん(13)は5日午前、西約2キロの海岸で相次いで遺体で見つかった。
    (2007年8月6日 毎日新聞より引用)
    (※3)
     清流・長良川で、アユ釣りに訪れる太公望の水難事故が増えている。3日までにアユの友釣りに訪れたベテランの釣り人3人が川に流されて水死したほか、渓流釣りを含めると計4人が亡くなっており、過去5年で最も多い。郡上市水上安全環境保全連絡協議会(事務局・郡上署)では、チラシを作り、釣り人に注意を呼びかけている。
     郡上署によると、過去5年の釣り人の死亡者数は、2003年と昨年は死亡者がなく、04年と05年が各1人だった。
     今年、急増した水難事故の犠牲者をなくそうと、同協議会では、注意を呼びかけるため、手のひらサイズのチラシ1万枚を作成した。チラシには「川に入る時は、自分の体調を考え、水量など川の状況をよく見る」「川の横断など危険な行為はしてはいけない」と注意事項を明記した。
    (2007年8月4日 読売新聞より引用)

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  • 子供を護る56の方法 その3【熱中症から護る】

     先月、北九州市で2歳の保育園児が、保育園の送迎車内に約4時間も閉じ込められ死亡するという事故がありました。(※1)
     警察の検分によると、車内の温度は50度にも達し、病院に運ばれたときの園児の体温(直腸温度)は40.8度だったそうです。完全に熱中症を起こしていたと考えられます。
     近くの公園から帰ったさいに、同じシートに座らせた別な園児が自分で降りてきたため、一緒に降りたものと思い込んだと保育士は語ったようですが、その後のオムツの交換や昼食、さらには件の送迎車を駐車場に移動させる時、何度も気づく機会がありながら、オヤツのプリンが余って初めて気づいたというのは、どうにも不思議でなりません。そのうえ、園児を車内で発見してから、救急車を呼ぶまで20分の空白時間があったというのですから、事故を隠蔽しようとしたのではないかとさえ思えます。
     これでは子供を預ける親は、1時間ごとにでも安否確認の電話を保育園に入れなければ、安心できないでしょう。実際、WEBカメラで園児の様子を親の携帯端末に配信したり、メールで様子を伝えるサービスを行っている保育園や託児施設はあるので、「子供を護る方法」として、そういう施設を選ぶのは有効だと思われます。
     ところで、この熱中症という疾患は、身近で起こりえる疾患でありながら、誤まった認識をされてるかたが少なくないようです。
     まず、似た語句で「熱射病」や「日射病」がありますが、医学的には「熱中症」に含まれます。そして、暑い環境にさらされされる外因と、運動などによって体の中から熱が発生する内因によって、体温を適正に保つことができない失調状態が、熱中症ということになります。
     今回の事故は外因のもので、一般的には熱中症は外因性と理解されているため、そのための対策をしているという人は多いようですが、内因性の熱中症も少なくないことは覚えておきましょう。秋から冬にかけてのスポーツ中に起きた事例は、決して少なくありません。というのは、運動の内容にもよりますが、運動をすると主に筋肉から熱が発生し、20~30分でピークに達します。その時には、体温は平静時よりも4度程度上昇しており、適切に体温を下げないと熱中症を起こします。
     また、外因についても、気温の高さよりも湿度の高さが影響する傾向にあまりす。これは、湿度が高いと放熱されにくいためです。これにより、屋内で起きているケースもあります。
     つまり、外因にしろ内因にしろ、熱中症は複合的な原因で起きると認識しておくべきです。
     それと、今回の事故のようにパチンコや買い物で車内に残された子供が死亡した事例では、冷房をかけておいたり、窓を少し開けていた場合でも起きていることを知っておきましょう。
     例え冷房をかけておいても、何かの拍子に車のエンジンが止まって冷房も止まると、わずか5分程で車内は40度を超え、20分もその環境の中にいれば熱中症を引き起こします。
     窓を少し開けておくのも、風を人間が涼しいと感じるのは体表部の熱を奪ってくれるからであり、車内に風が入るだけでは、温度はそれほど下がりません。
     さらに、車内に子供を残した状態で車両が盗まれるという事件も起きていますから、そもそも子供を車内に残すのが危険だと考えるべきでしょう。
     さて、熱中症の話に戻りますと、その症状の重さによって以下の三つに分類されます。
    ★軽症度
    ・多量の発汗と、手足に痙攣が現れる。(腹痛をともなう場合もある)
    ・頭がボウッとしてきたり、数秒ほど気を失う。
    ・脈拍は速いのに、脈の力が弱まる。
    ・呼吸回数が増えたり、顔色が悪くなったりする。
    ・唇がしびれたり、舌が回らなくなる。
    ★中等度
    ・話しかけても、生返事が多くなる。
    ・眩暈、疲労感、虚脱感、頭重感(頭痛)、吐き気(嘔吐)などの症状が重なって起こる。
    ・血圧の低下、頻脈(脈の速い状態)、皮膚の蒼白、多量の発汗などの症状が見られる。
    ★重症度
    ・呼びかけに応じなくなるなどの意識障害が起こる。
    ・全身痙攣や、体に触れても反応を示さなくなる。
     注意したいのは、軽症度から順に重症度に変化していくのではなく、いきなり重症度になるケースがあることです。
     ですから、予防が最大の治療法ということにもなります。
     そこで、予防法を先に示してから、起きてしまった場合の対処法を案内したいと思います。
    ●予防法
    ・連続の運動は、30分以内に収める。
     運動を始めてから20分を経過すると、体温を一定に保つために、体は発汗などの別な作業に移行するので、それを妨げないために休憩を要します。
     子供との散歩やサイクリング、体を使うゲームやスポーツなどでの目安にして下さい。
    ・こまめに水分を補給する。
     これはよく言われることですが、その補給の仕方にも注意が必要です。
     まず、水分だけを補給しても意味がありません。汗を舐めれば、しょっぱいように塩分が必要です。
     理想としては、1Lの水に対して2gの塩分濃度の水が最適です。スポーツドリンクで代用するのもいいでしょう。(逆に言えば、運動をせずにスポーツドリンクを飲むのは体に害を及ぼします。)
     また、汗は成分的には「透明な血液」と同じですので、ミネラルも多く失います。ですから、麦茶などのミネラルを含んだ飲み物をベースに塩を加えるという方法も、疲労を回復するのに有効です。
     そして、水分を補給する飲み物と、咽喉の渇きを潤す飲み物は、別々に用意して下さい。
     水分を補給するのには、温かくなくてはいけません。何故かというと、人間は水分や栄養を腸から吸収しますが、腸は体温よりも冷たい物を吸収できません。
     そのため、冷たい物を摂取すると、胃で体温に近くなるまで貯めておいて、温めてから腸に送るというタイムラグが発生します。
     そして、そのタイムラグによって、どんなに冷たい物を飲んでも、なかなか脳は咽喉の渇きが解消したと認識できず、過剰に水分を求めるということが起きます。水分の過剰摂取もまた、体内の塩分濃度を不安定にするため、体に変調をきたすことになります。
     ですから、水分を適正に体内に吸収してもらうために、まずは温かいほうを飲み、それから咽喉を満足させるために冷たい物を飲むという二段構えにします。
     ぬるま湯を保存するのでは腐敗する可能性がありますから、その危険を回避するためには、魔法瓶に熱い飲み物を入れて、飲むときに冷たい飲み物と割るのが良いでしょう。
    ・通気性の良い服装をして、外では帽子を被る。
     このとき注意が必要なのは、頭頂部よりも首の後ろを守ることです。首の後ろには太い、血管があり、ここは体温調節の要です。
     ツバが前にある帽子の場合はツバを後ろ側にして被るか、タオルなどで首の後ろが隠れるようにしましょう。
    ●応急処置
    「応急処置」という言葉も誤解されていることが多いですが、応急処置は「応急的に治す」のではなく、「医療機関に連れて行くまでの処置」です。
     特に熱中症は、回復したように見えて後で急変することがあるので、たとえ軽症度でも必ず医療機関に連れて行き受診するべきです。
    ・すみやかに涼しい場所に運び、衣服を緩めたうえで、足を頭一つ分ほど高くして寝かせる。
    ・手足の先から、体に向けてマッサージする。
    ・軽症度か中等度であれば、先の方法で水分を補給させる。
    ・風を送ったり、水があれば体にかけて冷やす。保冷剤などがある場合には、太い血管が通っている、首の後ろ・脇の下・足の付け根・太ももの内側などに重点的に当てて冷やす。
     以上の処置をして20分以上経過しても回復しない、あるいは意識障害が起きてると思われるときには迷わず救急車の出動を要請して下さい。(冒頭の保育園のケースでは、発見時に時間が経過してることは明らかなので、まず通報を優先するべきだったと考えられます。)
    ※環境省熱中症予防情報サイト
     http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/
    ※熱中症情報
     http://www.n-tenki.jp/HeatDisorder/
    (※1・読売新聞2007年7月28日の記事より引用)
     北九州市小倉北区の無認可保育園「中井保育園」(北村寿和園長)の送迎車に園児の浜崎暖人(はると)君(2)が放置され、熱射病とみられる症状で死亡した事故で、保育士らが心肺停止状態になっていた暖人君を発見してから119番通報するまで約20分かかっていたことが福岡県警小倉北署の調べでわかった。
     また、保育士らは暖人君がいないことに気付いてからも北村園長に報告していなかったことも判明。同署は、ずさんな管理体制が事故を招いた可能性もあるとみて、28日朝から業務上過失致死の疑いで園長や保育士らの本格的な事情聴取を始めた。
     調べによると、暖人君は27日、保育士らと遠足に行き、午後1時半ごろ、女性保育士2人が乗ったワンボックスカーで、他の6人の園児と保育園に戻ったが、屋外駐車場の車内に置き去りにされた。保育士らは園児がそろっているかどうか点呼も怠っていた。
     別の女性保育士(41)が午後5時すぎ、車内で暖人君を見つけたが、保育士は園へ連絡して、車を日陰に移動させてクーラーをつけたり、暖人君のおむつを交換したりしたため、119番通報は5時半ごろになったという。
     保育士らは午後4時ごろに暖人君がいないのに気付き、捜し始めたが、北村園長には、暖人君が見つかるまで報告していなかった。

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  • 子供を護る56の方法 その2【「ほうれんそう」を使おう】

     社会に出たとき、最初にコレを教わったという人もいるでしょう。「報告・連絡・相談」を怠らないようにと。
     夏休みを前にして、新聞や雑誌などでは、子供たちの夏休みの過ごし方について特集を組んでいたりします。特に「相談」に関しては、スケジュール管理や外出、携帯電話の使い方などについて「親子でよく相談しましょう」などとアドバイスをしているのを見かけます。
     でも、よく相談できるのであれば、そもそも困りません。むしろ、どうやって相談し合える関係や環境を築けるのかの方が課題のように思えます。
     そこでこの「ほうれんそう」です。
     ただし、これを子供にやらせるというのではありません。
     自分が子供にするのです。
     今は携帯電話がありメールの利用率も高いようですので、それが使えるという前提で話を進めますが、必ずしも携帯電話を使う必要はありません。ホワイトボードを家に置くのでも、玄関先などにメモを置くのでも構いません。
     しかし、中には「携帯電話を持たせるのは早い」と思っている人や、「携帯電話は子供には使わせないことにしている」というのを何故だか自慢げに語る人もいます。その認識は、正直言って「甘い」としか言いようがありません。
     固定電話や公衆電話で利用できる、テレホンクラブというものもあるのですから。テレホンクラブを利用している小学生も実際にいます。
     テレクラというと、「援助交際」を思い浮かべるでしょうが、実は事件として表面化するのが氷山の一角であるように、事件性の少ない交友関係も多くあります。
     そうして知り合った相手に代わりに契約してもらって、携帯端末を借りるというケースがあるのです。金銭や物品を報酬として性交渉を持てば犯罪となる条例を設けている自治体はありますが、そういう関係が無くて物を貸すことに違法性はありません。(もちろん、未成年に利用させたテレクラ業者は違反となります。)
     それらのケースを考えれば、親が携帯電話を与える方が、これから述べる「ほうれんそう」を実行するうえでも有効でしょう。
     まず一番簡単なのは、報告と連絡です。仕事を終えて帰るとき、最寄の駅に着いたときに、一言でいいので子供に知らせましょう。それは、自身が遊びに出かけたときなどでも同じです。
     さすがに1日に何度も連絡をすると子供に「うざい」と思われるかもしれませんから、そこは家族関係に合わせて調節して下さい。
     重要なのは、同じことを毎日繰り返すことです。
     これもまた毎日というだけで「うざい」と言われる可能性がありますが、親が与えた携帯電話であれば、そんなことを言われる筋合いはありません(笑)
     初めて買い与える時には、このような連絡を入れさせるのを約束させても良いでしょうし、すでに互いに持っているのであれば、とにかくまずは自分の方から勝手に始めてしまいましょう。
     そして、大事なこととしては「返信を求めない」ことです(※注1)。
     返信を求めると、本当に「うざい」と思われて、肝心の「関係を築く」ところまで持っていけなくなってしまいます。
     また、もし相互に連絡し合うようになっても、その行動を詮索するのは避けましょう。もしかすると子供は、外泊した際の行く先について嘘をつくことがあるかもしれませんが、重要なのはそこではありません。
     毎日続けるというのは、例えば「連絡が無い」というような「ちょっとした異変」を察知するために必要なことなのです。特別な場合だけ連絡を取り合っていたりしては、「ちょっとした異変」などには気づきようもありません。
     そして、行動を詮索するようなことをすると、子供は伝える情報の選別をしてしまいます。それはつまり、重要な情報を隠すということです。それでは、「なんでも相談し合える関係」まで進めません。
     さて、報告や連絡することに自身が慣れたら、相談してみましょう。
     それこそ、たいして意味の無い内容で構いません。夕飯のメニューでも、帰りのコンビニで買っていく物を尋ねるのでも良いでしょう。話題になっている本を買おうかというような話でも良いと思います。
     注意点としては、質問は基本的に選択式にするべきです。
     漠然と夕飯を「何がいい?」とか、買い物で「何を買ってく?」と訊かれても、返事をするのを面倒と思われてしまうことが状況によってはありえるからです。
    「○○と××なら、どっちがいい?」というように訊いて、もし「任せる」と言われた場合には、今度は即答は避けた方が良いでしょう。決めて即答してしまうと、「決めてるなら最初から訊かないでよ」と思われてしまうことがあるからです。
    「コミュニケーションは双方向でなくてはならない」と思い込んでる人もいるようですが、一方通行でも構わないのです。
     重要なのは、子供とのチャンネルを保ち続けることです。
     そのための「ほうれんそう」を、大事にして下さい。
    (※注1)
     電子メール(以下、メールと表記)を送って、すぐに返信が無いと不安に思う人がいるようですが、メールのシステムは極めて脆弱で、必ずしもリアルタイムで届くものではありません。ある意味、毎回「偶然に届いている」という状態にあります。
     というのは、現実の郵便であれば専任の郵便局員などが宛先に手紙を届けてくれますが、メールはコンピューターからコンピューターへとバケツリレーで転送に転送を重ねて届いているからです。
     それは例えば、通りすがりの人に手紙を預けて、預かった人がまた偶然会った人に預けることによって、どうにか宛先を知っている人が受け取ることで、やっと相手に届くようなものです。
     重要な連絡はメールした上で電話を入れて、相手が出なければ留守番電話にメッセージを残すのが確実です。
     文明の利器を過信しないように気をつけましょう。

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  • 子供を護る56の方法 その1【覚悟から始めよう】

     2005年12月に長野県の諏訪湖で行方不明になった小学校5年生の男の子が、年が明けた1月に遺体で発見されたのを覚えているだろうか。死因は水死で、転落事故だろうとの事だった。(※1)
     そのニュースを読み上げる草野仁キャスターが、「ちょっと残念な結果になりましたね」と言うのを聞いて、思わず膝を打って感心してしまった。
    「最近は子供が犠牲になる事件が多くなった」と識者が語り、会う人ごとに同じように言う。そんなご時世からすれば、この程度は「ちょっと残念」程度のこと。まったく、子供にとっては生きにくい世の中になったものだ。
     しかし、「最近は」というのであれば、やはり過去との比較が必要だとも思う。「昔は」と、しばしば語られる「子供にとって良かった時代」は、「いつ」だったのか。
     1972年生まれの私の親が成人する頃の1964年には、俳優の高島忠夫の長男が、お手伝いさんに殺されるというショッキングな事件を始めとして、高校生が同級生を包丁で殺害とか、なんかあまり今と状況が違うとは思えない事件が起きている。
     戦時中は言わずもがなで、子供にとっても大人にとっても悲惨な時代だった。
     さらに戻っていくとどうか。
     子供が犠牲になる事件は少なくないし、逆に子供が加害者の事件もかなりある。18歳の少年が、交際していた訳でもないのに、好きだった少女を太い竹で刺し殺したなんて事件は、クラスメイトの女子を男子が包丁で刺し殺した事件(※2)よりも、なんだかスゴそうだ。
     そもそも昔へ辿っていくと、今よりも人権意識は薄く、新聞が出る明治期よりも前ともなれば、奉公に出されたり、障害児は見世物にされたり、今の感覚では尚のこと許せないような事例が資料では目に付く。
     そして、医学の頼りなさは今以上。
     うちの子は医師からは1度「諦めて下さい」と言われて生まれた、いわば「生まれるはずのない子供」だった。生まれるはずがないのに生まれてきたのは、まさに現代だからこそで、事故や事件に遭うのは、その引き換え。
     だとしたら、ちょっと目を離すその時で2度と会えなくなるのも仕方のない事なのかもしれない。
     まず、その覚悟から始めよう。
    (※1・読売新聞2006年1月15日の記事より引用)
     行方不明の小5男児、諏訪湖で遺体発見
     
     15日午後0時20分ごろ、長野県岡谷市湊の諏訪湖で、うつぶせになった子供の遺体が浮いているのを、釣りに来た同市の無職男性(70)が見つけ、岡谷署に通報した。
     同署で調べたところ、遺体は、昨年12月3日から行方不明になっている同県諏訪市清水、同市立高島小5年堀内竜桜(りゅうおう)君(11)と確認された。
     堀内君が見つかったのは、行方不明になった釜口水門公園のすぐそばで、遺体に目立った外傷はなく、着衣も行方不明になった当時のままで、争ったような形跡もなかった。
     同署は、堀内君が行方不明になった直後、誤って諏訪湖に落ちた可能性が強いとみて調べている。発見された場所の水深は約4・7メートルで、氷は張っていなかった。
     堀内君は昨年12月3日、母親、妹と3人で岡谷市の知人を訪問し、犬の散歩に出たが、母親が目を離した間に姿が見えなくなっていた。県警は、公開捜索を行い、学校関係者らも加わっての捜索を行っていた。
    (※2・中国新聞2005年11月12日の記事より引用)
     東京都町田市の都立高校一年、古山優亜さん(15)が団地の自宅で殺害された事件で、警視庁町田署捜査本部は十一日夜、殺人容疑で同じ高校に通う同学年の少年(16)の取り調べを始め、逮捕状を請求した。容疑を認めており、十二日未明に逮捕する。
     少年が手にけがをして、血の付いた衣服をクリーニングに出していたことも判明した。高校によると、少年は十一日朝、右手に包帯をして登校。けがの理由を「自転車で転んだ」と担任に話していた。
     優亜さんは首など約五十カ所を刃物で切られており、捜査本部は、少年と優亜さんとの間に何らかのトラブルがあった可能性もあるとみて詳しい動機を追及する。
     調べでは、今月二日、古山さんの自宅の鍵などが入ったバッグが校内で何者かに盗まれていた。運送会社で運転手をしている母親の君子さん(39)が事件後の十一日未明に帰宅し優亜さんの遺体を見つけた際、玄関ドアには鍵が掛かっていた。
     十日夕、優亜さん宅から「ギャー、助けて」という悲鳴や「ドスンドスン」という争うような音がしていたことも住民の話で分かった。
     捜査本部によると、盗まれたのは緑色のバッグで、生徒手帳や銀行のキャッシュカードが入っていた。二日午後七時ごろ、高校の中庭にある机の上に置いていたところ、目を離した約十分間に何者かに盗まれた。
     キャッシュカードは七日午前、町田市内の横浜銀行成瀬支店に届けられた。届けたのは男性で、「二-三日前に町田市内で拾った」と話していたという。
     盗難被害の後、優亜さんは古山さんに「知らない人が家に入ってきたらどうしよう」と怖がっていたという。
     一方、現場の自宅内は争ったように散乱していた。優亜さんは居間で血を流して倒れていたが、ダイニングキッチンでも血痕が見つかった。
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    配信:サークル見習い魔術師
    編集:泉 都市
    著者:清水銀嶺
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