【感想】 『SPACE BATTLESHIP ヤマト』 (ネタバレ警報発令)

By 清水銀嶺, 2010年12月5日

 客観的なレビューは、『ためログ』で記事にしたので、そちらを参照して下さい。
 どう作っても叩かれるであろう作品を、あの「悪夢の大事故」と評された『デビルマン』のようにすることなく、エンターテインメントに仕上げたのは素直に拍手を贈りたいと思う。
 ソレ以外の、極めて主観的な感想は、壮絶なネタバレを含みますので、これから観に行こうという人はスルー推奨です。
 読んでみようという人は、下記の『赤坂サカス』で撮ってきたヤマトの写真の下からお読み下さい。


宇宙戦艦ヤマト 宇宙戦艦ヤマト 宇宙戦艦ヤマト
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 そもそも『宇宙戦艦ヤマト』自体が、複雑な出自であり数奇な運命を辿った作品である。
 先月事故で亡くなった西崎義展と、虫プロダクションの山本暎一が立ち上げた企画に、脚本家の豊田有恒や藤川桂介が加わってSF設定が練り上げられて、『スタジオぬえ』からは戦艦をイメージした宇宙船のデザインが提案され、『宇宙戦艦ヤマト』というタイトルが決定してから松本零士がキャラクターデザインの依頼を受け監督として関わるようにまでなった。
 それが後に、「誰が著作権を持っているか」という騒動に発展し、その間にも様々な形で映像化されては中途半端な結果となってしまった。
 その点においては、一作完結という形に収めた本作は潔く好感が持てるし、敵であるガミラス星人が人類とは違う生命体であることも、アニメ版の企画段階においてはコンピューターだったことからすれば悪くないし、黒木メイサ演じる森雪が戦闘班になったことや、佐渡先生を高島礼子が演じることになったのも、「戦史の解釈を変えて創作する」ようなもので納得もする。
 そのうえで正直な感想としては、黒木メイサは要らなかった。
 キムタク古代をグーパンチで殴るツンデレ森雪は面白かったけど、可愛げが無くて、ただただウザイだけだった。しかも、気がつくとブリーフィングルームで飲んだくれてるもんだから、どう見ても佐渡先生より大酒飲みの印象に。
 物語中では、古代進に憧れて戦闘班に入ったというのは分かったものの、どこで2人が惹かれ合ったのか分からない。第三艦橋の乗員が犠牲になった事がキッカケならば、それは第三艦橋を見捨てなければならない苦渋の決断をした古代と、実際に第三艦橋を切り離した雪という「共犯関係」での恋愛で、観客としては心情的に祝福しにくい。
 いっそ黒木メイサの登場シーンを全てカットして、古代がランダムワープを指示したときに反対した通信班の相原(マイコ)を森雪の位置として扱った方が良かったように思う。
 そして最後の、地球に帰還する途中のヤマトの前に立ちはだかったガミラス艦、なんで攻撃せずに古代と雪のやりとりを待っていたのか。いわゆる、正義のヒーローが名乗りをあげている間は敵は攻撃をしないというようなもんだけど、さすがにアレはドッチラケ。完全に流れが止められてしまって、感動する前に醒めてしまう。
 もしかすると、古代の特攻を回避するフラグなのかなとも思ったけど、結局は雪を脱出させて古代だけがヤマトと共に特攻してしまった。
 これには本当に失望させられた。
 ヤマトを揶揄するギャグに、「私の名はスターシャ。ヤマトの皆さん、『愛』という文字から心を無くすと『受け』になります」というのがあるのだが、正にそれをやってしまった。
 あれほど攻撃を待つ時間を取るのなら、そこはデスラーが愛に目覚めるべきだろう。少なくとも、過去のヤマト作品がどんなに迷走しようともブレることのなかったのが、観る者が気恥ずかしくなるくらいの『愛』の提示だったはずだ。
 あんな可愛げの無い、どうして結ばれたんだか分からない雪のために死んだみたいになって、最後の最後で感動を削がれてしまった。
 沖田艦長(山崎努)が古代に「イスカンダルから送られてきたメッセージに、放射能除去装置は無かった」と衝撃の告白をするという、ヤマトの基本コンセプトをひっくり返しただけでも大冒険なのに、そのうえヤマトの基本テーマたる『愛』まで外してどーする。
 個人的には、実は放射能除去装置は無かった、でも「人類に希望を持たせるため」という理由から嘘をついた、と日本人好みの精神論を重視する設定を組み込んだのは気に入った。
 であるならば、ラストは表面的なカッコ良さの特攻シーンではなく、デスラーとの融和があっても良かったと思う。少なくとも、劇場版『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』より意味のある融和になっただろう。
 やや大げさに言えば、実際に戦争で撃沈され多くの犠牲者を出した戦艦大和をモチーフにした作品で、これもまた家族のため国のためと本当に特攻していった兵士の死を汚すような、安っぽい特攻シーンで締めくくられたことには違和感を覚えざるおえない。
 緑が蘇った地球の大地でクルクルと踊り、おそらくは我が子を抱きしめた黒木メイサをグーパンチで殴りたくなった。
 悪いのは、山崎貴監督なんですけどね。

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