機動戦士ガンダム

By 清水銀嶺, 2010年10月2日

 『日本サンライズ(現・サンライズ)』によって制作されたロボット物のTVアニメ。
 1979年4月7日から『名古屋テレビ』にて放送され、現在に至るシリーズの最初の作品であることから、「ファーストガンダム」と呼ばれる事もある。
 富野喜幸(現・富野由悠季)氏の出世作となり、同時に呪縛ともなった。
 よくある誤解として、視聴率の低迷のために放送が打ち切られと云われているが、テレビ局側としては打ち切りの対象になるほど悪くは無く(名古屋地区で平均9.1%、関東地区で5.3%)、スポンサーである『クローバー』の玩具の売り上げ不振が直接の原因であった。  
 制作サイドが中学生以上をターゲットに作品を作っていたのに対して、『クローバー』が発売していた玩具はガンダムの手がバネで飛び出すなど従来の低年齢層向けのロボットの玩具で、そのデザインも派手な色使いと無骨なプロモーションだった。ただし、『クローバー』が要請して番組中に登場させたガンダムのパワーアップパーツとなる『Gアーマー』とガンダムをセットにした『ガンダムDX合体セット』が、年末商戦で好調な売り上げをみせ、『日本サンライズ』に延長を打診した頃には時すでに遅く、決して高い視聴率ではなかったものの、視聴者からは好評のうちに本放送は終了した。
 そのためか放送終了直後から再放送を嘆願する運動が繰り広げられ、再放送、再々放送を重ねていくうちにファンを獲得していき、視聴率も本放送時の2~3倍に増えた。
 そして、本放送の終了間際に商品化権を得た『バンダイ模型』が、番組に登場するロボット、番組中では「モビルスーツ」と呼称されるプラモデルを発売した。番組中での兵器としての運用に合わせて、実在しないにもかかわらず「1/144スケール」などと、戦車や戦闘機などのミリタリーモデルと同じように売る戦略をとったところ、狙い通り高い年齢層が飛びつき、それが波及するように小学生の層にも広がって「ガンプラブーム」を捲き起こした。
 このブームが後押しとなり、TVシリーズに新作カットを加えた再編集版が劇場作品として制作され、これが『松竹』初のアニメ映画となった。
 また、現在に至る人気の要因として、主人公が悩みながら成長する物語の主軸や、敵が異星人などではない人間で、それぞれの事情で戦っている描写などがあり、その「リアルさ」が挙げられる事が多いが、作品には試行錯誤とスポンサーの口出しへの対応に苦慮した点が多く見られる。
 主題歌の『翔べ!ガンダム』には「銀河へ 向かって 翔べよ ガンダム」などとスーパーロボットを装うような、およそ作品内容にそぐわない歌詞があったり、作画の手間を省きつつ兵器としての運用を提示したモビルスーツの「量産機」という考え方を維持する一方、スポンサーサイドの「毎週違う敵を出してくれ」という要請に応えるため、「試作機」として1回限りのモビルスーツを登場させるなどが、それである。
 そもそも、監督である富野氏の作品においては、「主人公の側が実は侵略者だった」(『海のトリトン』)とか「戦闘に巻き込まれた一般人から非難されて苦悩する主人公」(『無敵超人ザンボット3』)などが描かれており、本作は意欲作ではあったが、突然変異のように現れた訳ではない。
 むしろ、制作サイドの意欲に対して、ファンが積極的に応えて、それをまた制作サイドが受け取るというキャッチボールが行われたのが長期人気の要因であろう。
 例えば、劇中でのロボット同士が戦う理由付けとして、ミノフスキー粒子という架空の粒子を登場させ、この粒子が電波を撹乱させる性質を持っているためレーダーを用いたミサイル等の遠距離攻撃ができないなどと制作サイドが設定していたところ、巨大な戦艦が大気圏内を浮くように飛行する原理や、ビーム兵器の設定などへの応用理論がファンの側から提案され、それらが後から公式設定として採用された。
 これらは、プラモデルなどの商品展開にも反映され、本編には登場しなかったモビルスーツが発売されたり、数多くのスピンオフ作品がアニメのみならず漫画や小説として発表され続けている。
 なお、「リアルさ」を本格的に追求したのは、続編の『機動戦士Zガンダム』という意見がある。本作では「戦争」に「政治」を取り入れた訳だが、続編ではさらに「経済」の概念を取り入れたからである。

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