里中満智子「原稿」展

By 清水銀嶺, 2009年10月28日

 さいたま市立漫画会館で、里中満智子先生の原稿展が開催されている。
 持統天皇を主人公にした作品、『天上の虹』から里中先生自薦のカラーイラストや原稿の精密な複製が主に展示されています。
 会場には、『天上の虹』の単行本全巻(続刊中)が置いてあり、作品を知らない人も、それを読むことで展示作品の世界観を知ることができます。
 作品自体は、登場人物たちが、やけに現代的な思考をしているのが気になるけれども、歴史物の他の作品では権力指向で悪女として描かれがちな持統天皇を、優しくも芯の強い魅力的な女性として読ませられるのは、さすがは里中先生です。
 無料配布のパンフレットによれば、作品発表後に歴史の研究が進んで、作中で描いたエピソードと違ってしまったこともあったそう。一方で、研究の発表を待ってから描いたこともあったというから、歴史モノの面白さを感じる。
 そして、漫画家としてのキャリアの長い里中先生の絵は、古くても確かな技法で繊細に描かれていて、その美しい描写に嘆息するしかない。
 特にカラーイラストにおける長い髪の艶やかな質感や、薄手の白い羽衣の布目を感じさせる描写は、本当に美しい。
 今回の展覧会のタイトルを「原画」ではなく、「原稿」展にしたのは、コマや構図などで構成された漫画は、一枚絵で表現された物とは違うという思い入れがあるからのようです。
 往年のファンの人はもちろん、漫画家を目指す人もまた、里中先生の原稿に触れて、多くのことを感じることができるでしょう。
 2009年11月23日(月・祝)まで。

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