【メイド喫茶論考】メイド喫茶誕生

 喫茶店の愛好者の間では、店員をカフェマヌカンと呼んで、店長であるマスターやマダムという用語と同じように用いられている。より一般的には、男性の店員ならウェイター、女性はウェイトレスと理解されているだろう。女性店員を、家事使用人を意味するメイドに扮装させるようになったのは、どのような経緯からなのか。
 その誕生は、主に関東圏では先述したように、株式会社ブロッコリーが、自社のパソコンゲーム『Piaキャロットへようこそ!!』のゲーム内におけるレストランをモチーフにした喫茶コーナーをイベントにおいて出展したことに始まる。
 この時はメイド服ではなかったが、キャラクターの服装をしたコンパニオンが接客したことが好評を博し、ブロッコリーが経営する『ゲーマーズ』という、自社グッズやアニメとゲームなどを販売する支店のイベントコーナーで、期間限定ながら『Piaキャロットレストラン』を三回に分けて開店した。
 やがて二○○○年には常設店として本店に『ゲーマーズカフェ』をオープンさせる一方、『Piaキャロットレストラン』もまた『Cafe de COSPA』という名前で常設店となった。この『Cafe de COSPA』では自社キャラクターのみならず、他社のキャラクターに似たコスプレを店員がするようになり、二○○一年に経営がゲーマーズからコスプレグッズの販売事業をしている株式会社コスパに移って、『Cure MaidCafe』としてリニューアルした時に店員の制服がメイド服に統一され、ついにメイド喫茶が誕生した。
 制服をメイド服としたことについては、「癒し」をコンセプトにしたことと関係があるようで、採用されたメイド服はスカート丈の長い質素な服装であり、店内にはガーデニングのコーナーも設置された。
 いずれの店舗も、住所地は千代田区外神田であり、厳密には秋葉原は隣の台東区であるが、周辺一帯が「秋葉原の街」として人々に認知されているため、この地域での流行が「アキバ系」と称されるようになった。
 一方、コスプレという分野が注目されるようになったためか、ほぼ同時期の二○○○年に神田の居酒屋『蔵・太平山』が日曜日限定で店員にコスプレをさせる試みを始め、関西圏では二○○二年には大阪の日本橋に「メイドウェイトレスカフェ」と銘打った『ジャングルカフェ』が誕生し、同年に名古屋に開店した『M‘s Melody』が「お帰りなさいませ、ご主人様」という挨拶を全国で始めて導入した。
 このことから、メイド喫茶という形態の発祥は東京と云われ、メイド喫茶としての仕様の発祥は関西と云われている。
 秋葉原の名物の一つに「おでん缶」なる物があるが、おでんの歴史も「関東煮 (かんとだき)」が関西で洗練されて再び関東に戻りながら全国に広まったそうで、文化の系譜というものは知るほどに面白い。

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