漫画版『ルパン』が年内で連載終了の危機!! ~森田崇先生が『アバンチュリエ』の移籍先を模索中

By 清水銀嶺, 2012年9月30日

 今月28日の夜に、漫画家の森田崇先生がTwitterで『アバンチュリエ』の連載が年内で終了予定だと明かし、ファンの間で惜しむ声が広がっている。
 掲載誌は講談社が発行する隔週刊青年漫画誌『イブニング』で、森田先生によれば単行本の部数が伸び悩んだ事が、編集部による連載終了の判断となったそうだ。
 しかし、漫画に限らず「売れた」「売れなかった」というのは商業的な宣伝や戦略に負うところも大きく、作品の良し悪しとは必ずしも連動しない。
 その点では、この『アバンチュリエ』のタイトルに、モーリス・ルブラン原作の『アルセーヌ・ルパン』をもっと大きく入れなかったのは、戦略ミスであったように思われる。
 そう、この作品は小説『アルセーヌ・ルパン』を漫画に翻案した作品なのだ。
 しかも、多くの人がイメージするであろう、「シルクハットにモノクル(片眼鏡)の渋めの紳士」ではなく、「明朗快活で機知に富み皮肉屋で恋多き青年」として描いている。
 これは別に森田先生の勝手なアレンジではなく、原作小説を読み返すと確かにそうなのだ。
 原作小説を読む段階で、「渋めな紳士」という先入観で読んでいたため勘違いしていたのだが、森田先生の漫画版を読んでみると、初期のルパンは驚くほど若々しい。
 そして、さらに多くの発見がある。
 まず現代風に言えば、なんとルパンには「ドジっ子」属性がある
 自分の手腕に酔い、完璧主義者でありながら若さ故の詰めの甘さから時に危機を招くというのは、主人公が危機に陥りそれを乗り越えるというシンプルな作劇法だが、その危機の陥り方が実に「ドン臭い」のだ。
 疲れて居眠りしてる間に強盗に縛り上げられてしまうとか、宝石を盗んでいるところを好きな女性に見つかって赤面し狼狽(うろた)えるとか。
 ルパンって、「こんなに可愛かったのか」と驚くばかりである。
 そのうえ、今で言うところの「ツンデレ」属性もある
 宿敵であるガニマール警部に対して、本気で褒めたかと思えば馬鹿にして貶め、命を救ったかと思えば拳銃で脅し、手柄を立てさせてやったかと思えば自分の仕事のために利用するので、一見すると「おちょっくてる」だけだから「ツンツン」であるものの、後で必ずタネ明かしをする様子は「デレ」てるとしか思えない。
 原作小説を読んだのは子供向けシリーズからであったが、それから30余年もして、これほどルパンの翻案作品で興奮したのは、本作が初めてである。
 実のところルパンシリーズは、コナン・ドイル原作の『シャーロック・ホームズ』シリーズと比べて、映像化などに恵まれていない。
 本家フランスでのテレビドラマ版は落ち着きがありすぎてワクワク感に乏しく、アニメ版は大層不評であった(筆者未見)らしい。
 2011年には日本でも『ルパンの奇巌城』が制作されたが、これこそ話題にもならなかった。
 森田先生は、「これからルパン譚の初期傑作『奇岩城』『813』『水晶の栓』…に突入するところだったので、非常に無念です」と心情を吐露しており、漫画家や編集者などに連絡を取りながら移籍してでも作品を継続する道を模索しているとのこと。
 専属の作画スタッフを解散してしまうと再開が厳しくなるため、年内には道筋を作りたいようだ。
 なお、森田先生によればイブニング編集部とは仲違いをした訳ではなく、編集部側でも移籍先を探すのを手伝ってくれているらしい。
 連載中の『金髪婦人』シリーズが残り3回と短編作品が前後編を入れて、年内での連載が終了する予定だそうなので、一ファンとしては友人知人に薦めると共に、こうしてブログの記事にするくらいしか、できることが無いのが残念でならない。
 反省すべきは、第一巻が発売された時に、「これほど面白いなら読者も増えるだろう」とレビューの一つも書かなかった事だろう。
 このまま終わってしまっては、悔やんでも悔やみきれない。



    

 森田先生は漫画家なので漫画作品の移籍先を探しているが、別のアプローチもあるように思う。
 例えば、日本のマンガやアニメ作品に影響を受けた国は、アメリカなどよりも断然フランスである。
 フランスの漫画ファンなどを通じて、出版社を動かせないか。
 また、国内で言えばアニメ関係者にも当たってみるべきだろう。
 今やアニメの本数が増え、慢性的な原作不足となっており、1クールでの放送も当たり前になっているので、企画の売り込み次第ではタイアップが一気に広がる可能性もある。
 そして、テレビの情報番組に今回の件が30秒でも良いから流れる方法も模索しよう。
 情報番組もまた、慢性的なネタ不足に困窮している。
 何しろ毎日なにかしらの情報を取り上げなくてはならないのだから。
「漫画版ルパン、連載終了の危機」とでもすれば、『ルパン三世』の方かと勘違いして飛びついてくるかもしれない。(わりと真面目に)
 あるいは、「漫画版ルパンの連載終了の危機にファンが動く」という内容でも良いだろう。
 いずれにせよ、情報の提供先はテレビ局ではなく、下請けの番組制作会社である。
 制作会社に情報収集をさせて、10~20件ほどの中から選別された物がオンエアされるのだ。
 取り上げてもらう可能性を高めるためには、地方紙でも良いから新聞に扱ってもらって、その新聞とともに情報を提供できるのが望ましい。
 その点では、地方紙はフランスの都市と姉妹都市提携をしている所のが良いだろう。
 できることは、まだまだあるはず。
 作中のルパンなど泥棒稼業を、「こんな楽で堅実な商売、どうして皆しないんだろ?」(意訳)と軽快に述べながら、その実、目的のためには「何千回も練習する」という努力家でもあるので、やっぱり「できることをやり尽くす」しかあるまい。

イブニングで連載中の「アバンチュリエ」(森田崇先生)の移籍先を探しています(漫画家さん、編集者さん、業界人さん向け)
 http://togetter.com/li/381126
イブニング公式サイト
 http://kc.kodansha.co.jp/magazine/index.php/02134
漫画家 森田崇BLOGフラットランド
 http://tak-morita.air-nifty.com/

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