<<通巻37号>>『ガンダム』を見よう その4 ~ガンダムは基本「年代記」であり、「歴史のうねり」的なモノが裏の主役であるという部分である

執筆 : 星雲御剣/注釈 : 清水銀嶺

37:『ガンダム』を見よう その4

「U.C.編・3」
 さて、前回まで、『ガンダム』の「U.C.」を網羅してきた……もちろん、このクラスの作話題ともなると、全部見るのが一番オモシロイのではあるが、今回の目的は「要点を切り取る事」の実習なので、ここで視聴方針を立てて、見るべきタイトルを選りすぐってみる事とする。
 着目すべき点は、ガンダムは基本「年代記」であり、「歴史のうねり」的なモノが裏の主役であるという部分である。
まず、全ての始まりである『ファースト劇場版三部作』は見る必要があるだろう。
 外伝である『MS IGLOO』と『08小隊』『ポケ戦』は、後世に与える歴史的影響が少ない(★補1)のでとりあえずスルーできる。
次に『0083』の総集編で「ジオン残党への対策という建前で『ティターンズ』が作られ、宇宙移民は戦前以上に虐げられる事になった」と言う戦後の流れを読み取ってから『劇場版Z三部作』へと進む。
 この後、出来れば『ZZ』を見ておきたいのだが、TV版のみで本数が多いため「TV版だとカミーユは最後に精神を病んでしまう」「ハマーンは後に失脚した」「アクシズにはクローンの強化人間部隊があった(★補2)」事だけざっと認識しておいてから『逆シャア』へ進み、その後に最新作『UC』へと辿り着くことでとりあえずゴール……とするのが、現在の所、かいつまんで見る最短距離の様である。
その後の『F91』以降は、設定上「U.C.0100にジオン共和国が解体、戦後の終わりとされる」ため、「歴史のうねり」は次のステップに進んだと考えてとりあえず保留して、ここまでにスルーしてきた外伝を見ても良いし、そのまま突き進んでみても構わない(★補3)。
以上を、「U.C.」におけるガイドラインとし、次回は『平成三部作』と『∀』、これらを視聴する際に気をつけたい「奇妙な相関関係」について解説しておこう。


補1
 逆説的に言えば、人物ごとのドラマに完結性が高く後腐れがないので、「一年戦争縛り」で、初代三部作とこの辺の外伝だけ見て終わらせるという思い切った方法もある。
補2
 『ZZ』冒頭でカミーユが寝込んでいる事、『Z劇場版』のラストで怪気炎を上げているハマーンが『逆シャア』には名前しか出てこない事、それと『UC』のマリーダが、パイロットとしてだけでなく生身でも異様に強い事などの理由が分からず混乱するかも知れない……ので、早く『劇場版Z』から引き継ぐ形での『ZZ再編集総集編』をまとめて欲しいなぁ、と思ったり。
補3
 とりあえずそのまま突き進むと、『F91』冒頭に出てくる骨董品の「変形するガンタンク」が、『UC』の「特殊部隊用小型MS・ロト」と同系統のデザインでニヤニヤ出来る、という製作側の仕掛けがある。
 メカ設定レベルでの仕掛けは他の作品でも多々散見されるので、視聴の際はこの辺にも注目されたし。

次回は「38:『ガンダム』を見よう その5」
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&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&& 執筆者紹介 &&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&&
◆星雲御剣(せいうん みつるぎ)
 80年代後期ファミコンブームの頃から各ゲーム誌で攻略記事を担当。
 ゲームのみならず、マンガやアニメにも造詣が深く、某大手出版社の入社試験では、面接官に聞かれたウルトラマン、仮面ライダー、ガンダムの顔と名前を全部言い当てたのが合格の最大の決め手になった、と言われている(笑)。
 独特のオタク感を実生活に反映させる生き様を模索、実践する求道者。
◆清水銀嶺(しみず ぎんれい)
 唐沢俊一氏主宰の『文筆業サバイバル塾』第一期塾生。
 既刊『メイド喫茶で会いましょう』(共著)

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