<攻殻機動隊>という物語における、複雑な共有世界の複合体

攻殻機動隊 第4部
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=2322522&media_id=54
6月に劇場公開するようですが、とても楽しみです。
主人公の【草薙素子】の過去…どんな風なのでしょう?
興味ありです。
どうしたら、あんな電脳世界での天才的な情報捜査官が生まれるのか…?
公安9課の成り立ちとやらを堪能できたらよいと、思っています。
この物語は、全くの架空世界での近未来SFサスペンス。
しかし、とても惹かれるものがあります。
それは、普段私たちの生活する現代社会の隠れた問題をどこか取り入れてるふしがあり、それがまた勉強にもなるからです。
例えば、ごく普通に存在する社会組織においての件など、通じるところ多々あります。
いうならば、大多数の人間が所属する企業においてありがちな組織体系についての定義。
考えさせられます。
<スタンドアローン コンプレックス>凝縮された、一番のこの作品のテーマです。
まさに、電脳世界での情報源…誰が犯した犯罪なのかたどっていくうちに、根源そのものが存在すらしてないものに気がついていく。
それなのに、オリジナりティでないものに何らかのきっかけで魂(ゴースト)が芽生えて、宿ってしまったがゆえに行われてしまう犯罪と内情のすべて。
実はコピーでありながらも独自の世界感を持ち始めた個体…複雑な共有世界の複合体だったという事件に行き着くのです。
奥深い何かを感じます。
そこに隠された心理状況を把握して、追求しあぶりだしていく…そういう物語の金字塔がここにはあります。
義体化し、精神を電脳化してる分だけ闇が広がる…まるで現代社会のネット犯罪系の心理を不思議と体現していくような気合いがあります。
厚生省的なお役人の悪徳さなどが出てきたりしますよね。
それを、いわゆる公安9課という近未来警察組織が真理を追究し解決に導くという話です。
しかし、それは表舞台には決して現れないように情報操作していくもので、日本古来の忍者や隠密部隊の様相を呈しています。
意外に古典的かもしれません。
更に、宗教以外の哲学にも直結しています。
攻殻機動隊 第1部の≪笑い男事件≫では、『ライ麦畑でつかまえて』という、誰でも青春時代に一度は目にしたことのある物語をベースにしてる所が出てきます。
『アルジャーノンに花束を』などの、いわゆる精神世界に通じる内面的な心理解釈が好きな人にはとてもお勧めな作品です。
電脳硬化症という不治の病も出てきます。
しかし、私はなんといっても
攻殻機動体SSSが、作品中一番地味系と言われているこの作品が一番好きです。
これは、天才的な主人公【草薙元子】が消息不明になった後の公安9課の活躍が描かれています。
凡人だが、そのそれぞれがそれぞれのスキルを適材適所で生かしていくようなそういうチーム体系。
とても理想的です。
私は、そこに感銘を受けるのです。
物語は、現代の高齢化社会と少子化の中での幼児虐待など…それぞれが抱えている問題と相互扶助関係システムの社会的プログラム~(ソリッドステイトソサイティ)が出てきます。
これに政治家の金儲け主義がからんでいる犯罪の話。
このシステムを開発した人…公務員的体質の技術系エンジニアが作ったプログラムがいつのまにか一人歩きをしてしまうという、ストーリー。
だから、冒頭は国際テロ組織の特殊工作員の自殺から始まるのです、しかし…。
それを読み解いて追っていくのが、つまり公安9課の内務省管轄の【トグサ】が率いる警察部隊…私は、その活躍が好きなのです。
ここでは、人の思考思念などを残す魂をゴーストと呼びそれを操つる義体、つまり精神(電脳)と結びつける。
いわゆる、機械のような人形に宿る魂をゴーストという呼称にして呼んでいるようです。
結局最後に公安9課は、解体してしまいます…が、主人公の【草薙元子】もひと絡みあって現れます。
最後の方では妻帯者であり一番ノーマルな、あまり電脳化していない【トグサ】とその6歳の娘を助けてくれます。
なんか、泣きそうになりました。
しかし、これはみんな公安9課で一番の年老いた上司…課長【荒巻】の思惑通りに事が進んでいくような、ご都合主義的なところもみられます。
が、醍醐味というふうに受け止められる作品に仕上がっているように思うのですが、皆様はいかがでしょうか?

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