子供を護る56の方法 その2【「ほうれんそう」を使おう】

 社会に出たとき、最初にコレを教わったという人もいるでしょう。「報告・連絡・相談」を怠らないようにと。
 夏休みを前にして、新聞や雑誌などでは、子供たちの夏休みの過ごし方について特集を組んでいたりします。特に「相談」に関しては、スケジュール管理や外出、携帯電話の使い方などについて「親子でよく相談しましょう」などとアドバイスをしているのを見かけます。
 でも、よく相談できるのであれば、そもそも困りません。むしろ、どうやって相談し合える関係や環境を築けるのかの方が課題のように思えます。
 そこでこの「ほうれんそう」です。
 ただし、これを子供にやらせるというのではありません。
 自分が子供にするのです。
 今は携帯電話がありメールの利用率も高いようですので、それが使えるという前提で話を進めますが、必ずしも携帯電話を使う必要はありません。ホワイトボードを家に置くのでも、玄関先などにメモを置くのでも構いません。
 しかし、中には「携帯電話を持たせるのは早い」と思っている人や、「携帯電話は子供には使わせないことにしている」というのを何故だか自慢げに語る人もいます。その認識は、正直言って「甘い」としか言いようがありません。
 固定電話や公衆電話で利用できる、テレホンクラブというものもあるのですから。テレホンクラブを利用している小学生も実際にいます。
 テレクラというと、「援助交際」を思い浮かべるでしょうが、実は事件として表面化するのが氷山の一角であるように、事件性の少ない交友関係も多くあります。
 そうして知り合った相手に代わりに契約してもらって、携帯端末を借りるというケースがあるのです。金銭や物品を報酬として性交渉を持てば犯罪となる条例を設けている自治体はありますが、そういう関係が無くて物を貸すことに違法性はありません。(もちろん、未成年に利用させたテレクラ業者は違反となります。)
 それらのケースを考えれば、親が携帯電話を与える方が、これから述べる「ほうれんそう」を実行するうえでも有効でしょう。
 まず一番簡単なのは、報告と連絡です。仕事を終えて帰るとき、最寄の駅に着いたときに、一言でいいので子供に知らせましょう。それは、自身が遊びに出かけたときなどでも同じです。
 さすがに1日に何度も連絡をすると子供に「うざい」と思われるかもしれませんから、そこは家族関係に合わせて調節して下さい。
 重要なのは、同じことを毎日繰り返すことです。
 これもまた毎日というだけで「うざい」と言われる可能性がありますが、親が与えた携帯電話であれば、そんなことを言われる筋合いはありません(笑)
 初めて買い与える時には、このような連絡を入れさせるのを約束させても良いでしょうし、すでに互いに持っているのであれば、とにかくまずは自分の方から勝手に始めてしまいましょう。
 そして、大事なこととしては「返信を求めない」ことです(※注1)。
 返信を求めると、本当に「うざい」と思われて、肝心の「関係を築く」ところまで持っていけなくなってしまいます。
 また、もし相互に連絡し合うようになっても、その行動を詮索するのは避けましょう。もしかすると子供は、外泊した際の行く先について嘘をつくことがあるかもしれませんが、重要なのはそこではありません。
 毎日続けるというのは、例えば「連絡が無い」というような「ちょっとした異変」を察知するために必要なことなのです。特別な場合だけ連絡を取り合っていたりしては、「ちょっとした異変」などには気づきようもありません。
 そして、行動を詮索するようなことをすると、子供は伝える情報の選別をしてしまいます。それはつまり、重要な情報を隠すということです。それでは、「なんでも相談し合える関係」まで進めません。
 さて、報告や連絡することに自身が慣れたら、相談してみましょう。
 それこそ、たいして意味の無い内容で構いません。夕飯のメニューでも、帰りのコンビニで買っていく物を尋ねるのでも良いでしょう。話題になっている本を買おうかというような話でも良いと思います。
 注意点としては、質問は基本的に選択式にするべきです。
 漠然と夕飯を「何がいい?」とか、買い物で「何を買ってく?」と訊かれても、返事をするのを面倒と思われてしまうことが状況によってはありえるからです。
「○○と××なら、どっちがいい?」というように訊いて、もし「任せる」と言われた場合には、今度は即答は避けた方が良いでしょう。決めて即答してしまうと、「決めてるなら最初から訊かないでよ」と思われてしまうことがあるからです。
「コミュニケーションは双方向でなくてはならない」と思い込んでる人もいるようですが、一方通行でも構わないのです。
 重要なのは、子供とのチャンネルを保ち続けることです。
 そのための「ほうれんそう」を、大事にして下さい。
(※注1)
 電子メール(以下、メールと表記)を送って、すぐに返信が無いと不安に思う人がいるようですが、メールのシステムは極めて脆弱で、必ずしもリアルタイムで届くものではありません。ある意味、毎回「偶然に届いている」という状態にあります。
 というのは、現実の郵便であれば専任の郵便局員などが宛先に手紙を届けてくれますが、メールはコンピューターからコンピューターへとバケツリレーで転送に転送を重ねて届いているからです。
 それは例えば、通りすがりの人に手紙を預けて、預かった人がまた偶然会った人に預けることによって、どうにか宛先を知っている人が受け取ることで、やっと相手に届くようなものです。
 重要な連絡はメールした上で電話を入れて、相手が出なければ留守番電話にメッセージを残すのが確実です。
 文明の利器を過信しないように気をつけましょう。

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配信 サークル見習い魔術師
編集 泉 都市
著者 清水銀嶺
E-mail:info(アットマーク)magical-shop.net
http://www.magical-shop.net/
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